えごま油の力

食事・栄養

えごま油とは

α-リノレン酸を豊富に含んでいる植物油です。α-リノレン酸はn-3系多価不飽和脂肪酸(n-3系PUFA)の一つです。これは体内で合成できない必須脂肪酸であり、食品から摂取する必要があります。

脂肪酸について

3大栄養素の一つである脂質の中に脂肪酸は含まれています。脂肪酸は癌や動脈硬化などの病気との関連があると言われています。脂肪酸は飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸(n-3系多価不飽和脂肪酸、n-6系多価不飽和脂肪酸)、トランス脂肪酸に分けられます。えごま油に含まれているα-リノレン酸はこれらのうち多価不飽和脂肪酸のなかのn-3系多価不飽和脂肪酸の一つに該当します。

効能

発癌抑制効果:n-3系多価不飽和脂肪酸(n-3系PUFA)に属するα-リノレン酸を摂取すると癌抑制効果に働くことが示されています(1。ちなみに、n-6系多価不飽和脂肪酸に含まれているリノール酸の摂取量が増加すると発癌リスクが高まる可能性があるようです(2~3

血圧低下作用:α-リノレン酸を含まない(少ない)油を摂取した群より、α-リノレン酸を多く含んだ油を摂取した群の方が血圧低下が有意だった報告があります(4

注意点

摂取について:α-リノレン酸の摂取と前立腺がんの関連を研究した報告がありますが、結果ははっきりしていないようです(5

酸化しやすく熱や光に弱い:α-リノレン酸などの油脂類は酸化しやすいです。脂質が活性酸素種の酸化ストレスによって変化する過程(脂質過酸化)で組織を損傷させ老化を促進したり、動脈硬化症などの血管疾患、がんの原因になると考えられているようです(6。また、熱に対しても同様の影響が考えられますし(7、光に関しても光化学反応によって酸化しやすいため光を通さない暗い色の遮光瓶に入っていた方が良いと思われます。

容器の変質、破損について:ポリスチレン容器(カップラーメン等)に使用すると容器が変質、破損し湯が流出するおそれがあります。独立行政法人 国民生活センターホームページにて2023年4月26日に「発泡ポリスチレン製容器にMCTオイルやえごま油等を加えるのはやめましょう-容器が変質・破損するおそれがあります-」との発表がありました。詳細はこちら→https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20230426_2.html

栄養成分表

私が普段使用しているえごま油の栄養成分表示(100g当たり)は以下のようになります。

食べ方

前述したように熱に弱く酸化しやすい性質があるので、ドレッシング等と一緒に使用し生野菜にかけることがおすすめされています。因みにα-リノレン酸の加熱に関する先行研究では180℃、70分までの加熱では、α-リノレン酸の残存率も90%以上であり, 栄養的にも食品衛生上も支障があるほどではなかった(8とされていることから味噌汁やコーヒーに入れても問題はないようです。適正量は厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書ではα-リノレン酸の摂取目安量は男性1.92~2.09g/日、女性1.62~1.83g/日とされています。栄養成分表から、えごま油相当量に換算すると男性:小さじ約1杯(3.2~3.48g)、女性:小さじ1/2~1杯(2.7~3.05g)となります。ちなみにこの報告書によるとα-リノレン酸の必要量を算定するための有用な研究が十分には存在していないようです。そのため、現在の日本人の n-3系脂肪酸摂取量の中央値を用いて目安量を算定したとのことです(9

まとめ

えごま油の良さを調べてみました。発癌抑制効果や血圧を調整する作用があるようです。食べ方も簡単なので試してみてはいかがでしょうか。

ちなみに、私はこのえごま油を使用しています。※さきほど栄養成分表で示したものです!(^^)!


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参考文献)

1)奥山 治美:リノール酸摂りすぎによる炎症性疾患としての癌.Environ.Mutagen Res.,25:147-157,2003

2)奥山 治美:必須脂肪酸の栄養生化学 混乱からの脱出をめざして.化学と生物,Vol.28 No.3:175-181

3)奥山 治美,橋本 道男,伊藤 幹雄,et al.:各種脂肪酸の生理・薬理機能の多様性.日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)131:259-267,2008

4)櫻井 智香,竹内 弘幸,関根 誠史,et al.:α-リノレン酸摂取による血圧低下作用に関する検討.日本未 病システム学会雑誌,13(2):331-333,2007

5)Wu Juan,Wilson Kathryn M.,Stampfer Meir J.,et al.:食事性α-リノレン酸と致死性前立腺癌の24年間の前向き研究【JST・京大機械翻訳】.International Journal of Cancer,142巻 11号:2207-2214,2018

6)山下 依子,豊國 伸哉:酸化ストレス 酸化ストレスと癌─発癌のメカニズムと癌の進展への関与─.HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY Vol.19 No.2, 33-37, 2012

7)薄 木 理 一 郎:食 用 油 脂 の熱 酸 化.Nippon Shokuhin Kogyo Gakkaishi,Vol.34,No.11:771-778,1987

8)丸谷 宣子,白杉(片岡) 直子,岡本 裕子,et al.:エゴマ (シソ) 油の加熱安定性と食品成分添加の影響.日本栄養・食糧学会誌,51巻6号:323-332,1998年

9)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書

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