はじめに
運動にはいくつか種類がありますが、フレイルに対しては筋力増強運動が推奨されています。筋力増強運動と聞いてなじみが少ない方もいると思いますが、一般的には筋力トレーニング、筋トレという用語が用いられています。筋力増強運動を効果的に行う方法としての基本があります。近年、リハビリテーション分野などでも用いられている、Frequency(頻度)、Intensity(強度)、Time(時間)、Type(種類)の頭文字をとって、FITT(フィット)を紹介します(1。
FITTについて
【Frequency(頻度)】
頻度は中2日ほど間をおいて、1週間に2~3回が理想と言われています(1。
【Intensity(強度)】
一般的には以下の表のように3セット行い負荷量を徐々に大きくしていきます(2。しかし、近年では高齢者に対する低負荷での運動の効果も示されており(3、1RMの20%程度の筋力増強効果が得られること、1RMの16%程度の運動でも筋肉のたんぱく合成が促されることが示されています(4。その他、Borg指数と言われる自覚症状を用いる方法もあります。目安は「11:楽である~13:ややきつい」から開始することが推奨されています(1。
DeLorme,Watkinsらの負荷抵抗運動(2:
※10RM(10 repitition maximum):関節の全可動域にわたり10回反復してできる最大の抵抗量
【Time(時間)】
一般的には1セット10回を3セット行います(2。またセット間に90秒間の休憩時間をとることで、血圧上昇が累積されるのを避けられるようです(1。
【Type(種類)】
最初にお伝えしたように筋力増強運動が推奨されています。方法はトレーニングジムにあるようなマシンをイメージするかもしれませんが、自重(自分の体重)を利用した自重トレーニングやゴムチューブを使用することで十分効果が期待できます。
最後に
自分の身体を負荷として運動を行う場合、厳密な数値に沿って行うのは難しいと思います。私は普段、自重トレーニングを行うとき回数とセット数のみ決めて行っています。それでも十分に筋力がついてきた実感があります(^^♪。いきなりFITTに則して運動することはハードルが高いと思うので無理なく継続できるペースからはじめてみてはいかがでしょうか。
参考文献)
1)日本循環器学会/日本心臓リハビリテーション学会合同ガイドライン:心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2021年改訂版)
2)千住 秀明監修,河元 岩男・溝田 勝彦編:ー運動療法学テキストⅢー運動療法Ⅰ 第2版,神陵文庫,125-130,2005.
3)Van Roie E,Delecluse C,Coudyzer W,et al.:Strength training at high versus low external resistance in older adults:effects on muscle volume,muscle strength,and force-velocity characteristics.Exp Gerontol 48(11):1351-1361,2013
4)Agergaard J,Bulow J,Jensen JK,et al.:Light-Load resistance exercise increases muscle protein synthesis and hypertrophy signaling in elderly men. Am J Physiol Endocrinol Metab 312(4):E326-E338,2017
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