栄養素が豊富と言われている玄米について効能や玄米の炊き方を調べました。
玄米の成分
玄米と精白米の栄養成分(1
玄米と精白米(うるち米)の栄養成分に加え、玄米の栄養成分が精白米と比べどの程度多いか倍率で表示してみました。特に大きかった部分を太文字で表示しました。※栄養成分の説明に関しては別記事に記載。
脂質:ここでいう脂質はトリアシルグリセロールを表しています。トリアシルグリセロールとは中性脂肪の一つでトリグリセリド(TG:triglyceride)とも呼ばれています。トリアシルグリセロールが高値になると動脈硬化や、膵臓炎、肝臓に沈着すると脂肪肝になる恐れがあります。後述しますが、玄米摂取による脂質異常の情報は見つかりませんでした。
効能
コレステロール低下:先行研究によると基準範囲外の総コレステロール値、LDLコレステロール値(悪玉コレステロール値)に該当する者に対して玄米を摂取すると上記の値の有意な減少が認められたとしています(2。
血圧下降:血液中のコレステロールが増加した場合、血管の弾力が低下しますので、血圧上昇の要因となります。従って上述したようなコレステロール低下の作用により血圧も下降する作用をもたらすと考えられます。その他、カリウムは血圧上昇を抑制する作用もあるとされています。
血糖改善:玄米などの食物繊維が豊富な食物は栄養素の消化・吸収速度を遅延させ、糖質摂取後の血糖値の上昇を抑制させるとされています。またこれは継続的な摂取が必要といわれています(3。
美肌効果やダイエット:肌年齢、しわの変化率、ポルフィリンの変化率が女性で有意に認められた報告があります(4。また食物繊維は咀嚼(噛む)時間が長くなり、唾液や胃液の分泌を促すことで満腹感が得られます。その結果、食物摂取量を減らすことにつながると考えられます(5。
便秘解消:玄米を摂取した群では摂取しない群に対して排便量の変化も増加しており玄米の豊富な食物繊維による便通促進効果が認められているようです(2。
玄米摂取における身体への影響について
玄米を調べると身体への悪影響について取り上げられています。いくつか調べていたところ「フィチン酸」「アブシジン酸」という成分と「ヒ素」「農薬」の4点が見つかりました。それぞれについてまとめます。
フィチン酸:穀類や豆類といった食物繊維の多い植物に豊富に含まれます。フィチン酸含有量が多いとカルシウム,鉄,銅及び亜鉛などの必須ミネラルの吸収を阻害すると言われているようです。これは玄米に限らず穀類を摂取する上ではフィチン酸の摂取は避けることは難しいようです。一方で、最近ではガン予防や尿路結石、腎結石の予防や再発防止に効果があると言われています。
→フィチン酸について:Japan Food Research Laboratories,2008
アブシジン酸(ABA):植物ホルモンの一種で植物中に分布しています。人体への悪影響に関する根拠は私が調べたところ見つかりませんでした。一方で、人体への悪影響は否定的とする内容が内閣府から報告されています。
→農薬取締法第3条第1項の農薬の登録に係る意見の聴取に関する資料 アブシシン酸:農業資材審議会農薬分科会(第 30 回)資料,2022-4
ヒ素:ヒ素は土壌や水中など自然に広く存在しており摂取を避けることは難しいとされています。人体への影響についてですが、通常の食生活を通じてヒ素が体内に入ることで、健康に悪影響が生じたことを明確に示す国内のデータは現在のところないようです。
農薬:玄米に限らず農薬を使用していれば農薬は残留しています。ぬかや胚芽に農薬が留まりやすいため玄米においては精米に比べ農薬残留量が多いと考えられます。奈良県で調査された玄米中の残留農薬は基準値を超えるものはなく、安全性については問題ないとされています。どうしても農薬が気になる方は無農薬玄米を試してはいかがでしょうか。
→谷川 元一,西村 憲三:奈良県産水稲(玄米)における残留農薬と農薬の使用条件.奈良県農業技術センター研究報告,32号:27-32,2001-03
玄米の安全な食べ方(浸水時間)
浸水時間:12時間以上の浸水でアブシジン酸を減少させ、発芽前玄米となり安全に食べることができるとされています。ちなみに発芽させると発芽玄米となりこれにはγ‐アミノ酪酸(GABA)が豊富に含まれているため精神安定作用や血圧降下作用、自律神経障害の改善や肌状態の改善なども報告され心身に良いとされています(6。
→佐藤 実:玄米の栄養について.秋田栄養短期大学栄養学 移動公開講座,2012-01
注意点
玄米は食物繊維が豊富です。そのため過剰に摂取することでミネラルなどの栄養素の吸収を阻害してしまう恐れや、便が柔らかくなりすぎ下痢になることがありますので注意してください。食物繊維の1日の摂取量(7は以下の通りです。その他、玄米の脂質量が精白米に比べ多いので脂質異常の危険性も考えられますが、そのような情報は見つかりませんでした。むしろコレステロールが減少する傾向にある結果となっています。これは満腹感による食欲を抑制する効果であったり、豊富な食物繊維による排便効果が功を奏しているのではないかと考えられます。
最後に
私は毎日玄米を食べています。玄米を炊き始めた頃は炊き上がるのに2時間かかってびっくりしました。最近では通常モードで炊くことのできる玄米もあるようなので確認してみてください。便秘は解消され毎日すっきりした状態で一日を迎えることができるようになりました(^^)/。よろしければ皆様も試してみてはいかがでしょうか?
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参考文献)
1)文部科学省ホームページ:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
2)横山 千鶴子,前田 雪恵,石川 幸枝,et al.:玄米の長期継続摂取(90日間)による血中コレステロール値低減効果の検証.日本食生活学会誌,第26巻 第2号:89-95,2017
3)池上 幸江:食物繊維と消化・吸収機能.栄養学雑誌,Vol.51 No.5:251~258 ,1993
5)辻 啓介:食 物 繊 維 の 保 健 効 果.ビ フ ィ ズ ス 8:125-134,1995
6)吉岡 優,勝野那嘉子,西津貴久:発芽玄米の香気特性に関する研究.美味技術学会誌,15(2):5-14,2017
7)吉田 企世子,松田 早苗:正しい知識で健康をつくる あたらしい栄養学.高橋書店:192
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