高血圧に対する食事

フレイル・心臓病

日本における高血圧の方は4300万人いると推定されています。つまり1/3人が高血圧ということです。高血圧は自覚症状も少なく、なかなか気づかないため改善しようという気持ちにもならないかもしれません。しかし高血圧は脳卒中や心臓病の要因となりますので適切な管理が必要となってきます。ここでは高血圧症に対する食事のポイントと具体的な食品について説明していきます。

食事のポイント

【食塩を制限する】

高血圧治療ガイドライン2019によると、食塩は6g/日未満にすることが推奨されています(1。因みに高血圧でない方に対する食塩摂取量は厚生労働省によると平均7g未満/日(18歳以上の男性7.5g未満、女性6.5g未満)を推奨しているようです(2。日本人の2019年の食塩摂取量の平均値は10.1g/日(男性10.9g、女性9.3g)でした(3。そのような状況で食塩を減らし薄味にすることは難しいと思います。そこでまず気を付けることは調理過程です。調理の中で調味料を入れる順番として一番は砂糖が多いと思います。砂糖を入れるとそのあとの醤油を入れる量も多くなることがありますので砂糖を入れる量を普段より減らしてみてはいかがでしょうか。また調理された料理に対して醤油などの調味料を使う方もいると思います。使う場所に関してですが食卓ですか?それとも台所でしょうか?もしくは両方でしょうか?調味料を使う場所を決めておくのも良いと思います。台所で使ったらもう使わない、とか食卓には調味料を置かないようにするというのも良いかもしれません。私は後片付けを減らすことも考えて台所でしか使わないようにしています。その他、昔は私自身で料理することは少なかったです。なので実際の食塩や醤油、味噌などの調味料がどの程度入っているのかわからずに食べていました。しかし、料理をするようになってから普段食べている料理の中にどの程度食塩が入っているのか分かるようになり、少し抑えるようになりました。ですのであまり料理をされない方は簡単なものから料理を始めても良いと思います。

【野菜や果物を摂取する】

穀類、豆類、きのこ類、野菜類、果物類に含まれている水溶性の食物繊維は余分なナトリウム(塩分の一部)を吸着し体外に排出する効果があるようです。また野菜類やいも類、果物類、海藻類、豆類にはカリウムが豊富に含まれています。カリウムは人体の細胞レベルにおいてナトリウムと均衡を保っています。これによりカリウムが多いとナトリウムを排出されます。

【脂質をコントロールする】

脂質にはいくつかの種類があって控えた方がよいもの、積極的に摂取したほうがよいものがあります。飽和脂肪酸の摂取により悪玉コレステロールが上昇しやすいため少量にした方がよいと言われています。それは摂取量が極端に少ないと脳出血になりやすくなることが報告されているためです。逆に積極的に摂取したほうが良いものとしてn3系多価不飽和脂肪酸のなかでもエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)が挙げられます。これらの摂取により冠動脈疾患が抑制されるという報告があります(4

【飲酒を控える】

アルコール量として男性20~30mL/日以下、女性10~20mL/日以下が推奨されています(5

血圧を下げる効果のある食品

【水溶性食物繊維が豊富な食品】

穀類(ライ麦、オートミール、玄米、大麦)、豆類(いんげん豆、納豆、きなこ、大豆)、きのこ類(干ししいたけ、なめこ)、野菜類(切り干し大根、ごぼう、モロヘイヤ)、果物類(干しいちじく、干しプルーン、アボカド、干しがき)

【カリウムの多い食品】

野菜類(切り干し大根、ほうれん草、人参)、いも(里芋、じゃがいも、さつまいも)、果物類(アボカド、バナナ)、海藻類(とろろ昆布、干しひじき)、豆類(枝豆)

【エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)の多い食品】

マグロ、真鯛、ブリ、青魚(イワシ、サバ、サンマ)

【その他】

伝統的な日本食は欧米食と異なり穀類や野菜、魚が多いため高血圧を防ぐ食材が多く含まれています。また、高血圧を防ぐ食事方法(DASH食:Dietary Approaches to Stop Hypertension食)に近いこともありこの方法に減塩を組み合わせる方法(DASH-sodium食)が望ましいです。その他、地中海食も野菜や果物、魚、豆類、未精製の穀類が豊富に含まれているためおすすめされています。

おわりに

私が20代のころ収縮期血圧(最高血圧)は110台で血圧のことはまったく気にしていませんでした。ここ最近、血圧を測ることがあるのですがたまに130台になっていたりします。高血圧は運動やストレスなど様々な要因で起こると思いますが、文章を書きながら食生活にも心当たりがあることも分かりました。減塩するほかに、調理することが面倒くさいからといって偏った食事ですませることや、お菓子を食べることも気を付けようと思いました。

参考文献)

1)高血圧治療ガイドライン2019.日本高血圧学会:64-65,2019

2)日本人の食事摂取基準(2020 年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書

3)令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要 厚生労働省

4)動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版.日本動脈硬化学会:83-84,2022

5)高血圧治療ガイドライン2019.日本高血圧学会:69,2019

コメント