水分補給で熱中症対策

症状別

最近暑さが一段と増してきたと感じます。皆様は熱中症の対策をされていますでしょうか。対策として涼しい場所に移動することや、服装に気を付けるなどいくつかありますが、今回は水分補給について説明していきたいと思います。

熱中症とは

熱中症とは、「暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称」(1であり、熱の産生と放散のアンバランスで発生します。症状はめまい、立ちくらみなど比較的に軽度な症状から意識障害を生じ入院を必要とする重度なものまでさまざまです。

熱中症の原因

気温の高い環境では体温も上昇します。自律神経により体は体内から体外へ汗を放出し(発汗)、体温を下げようとします。このまま続くと脱水症に陥りますが、正常な働きであれば一般的には口渇が強くなり飲水行動に出ます。しかし口渇が鈍くなったり、尿を濃縮する働きが低下する高齢者や病気を持たれた方は飲水行動が出にくくなるため熱中症へと移行してしまいます。

汗の成分

ここでは汗の成分について説明をします。汗を水と思われている方もおられるのではないでしょうか。汗は99~99.5%が水分でできていると言われていますが、その他にミネラルが含まれています。ミネラルにはナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)などが含まれています。先行研究では運動を行った者から排出された汗の成分と量の研究がありましたので下記に報告します(2

ナトリウム(Na):863mg/L

カリウム(K):222mg/L

カルシウム(Ca):16mg/L

マグネシウム(Mg):1.256mg/L

※汗1Lあたりに含まれる量

人の塩分濃度と汗に含まれる塩分の求め方

人体(血管内)の塩分濃度は基本的に0.9%に保たれていると言われています。塩分は血管内だけでなく骨にも含まれていますが、成人の体重のうち塩分量は0.3~0.4%、子どもでは0.2%です。

汗に含まれる塩分は「塩化ナトリウム=ナトリウム×2.54」と計算されますので約2192mg/L

このことから汗には約0.2%程度の塩分が含まれているということになります。運動の種目(強度)で、放出する汗の量は変わってきます。放出された「汗の量」の計算方法はいくつかありますが私は運動する前に測定した体重から運動後の体重を引いておおよその汗の量と塩分量を求めています。

ブドウ糖の吸収速度

多糖類は体内の消化酵素で単糖類「ブドウ糖」に分解されたあと小腸で吸収されます。熱中症予防では放出された分の水分や塩分を速く補う必要があります。そのため糖類のなかでも「ブドウ糖」が理想ではないでしょうか。またブドウ糖はたんぱく質や脂質と比較し小腸での吸収速度が速いです。

熱中症の水分補給と注意点

汗には水分だけでなくナトリウムを中心としたミネラルが含まれていることが分かりました。このことから水とナトリウム、ブドウ糖を含んでいる経口補水液やスポーツドリンク、また水には塩分を足すと良いと考えられます。熱中症診療ガイドライン2015によると「塩分と水分の両者を適切に含んだもの(0.1~0.2%の食塩水)が推奨される。現実的には市販の経口補水液が望ましい」(1とされています。さらに「市販の飲料水であればNa量を100mLあたり40-80mg含んだものが適当である」(1とされています。私が普段摂取しているポカリスエットは100mLあたり47mgでしたのでクリアしていました。糖分も含んだ方が水分吸収の観点から良いと言われていますが糖尿病の方には注意が必要ですので該当される方は医師と相談した方が安心だと思われます。

終わりに

私は気づけば一日のうちの水分をどのくらい摂取したんだろうと疑問に思うくらい水分摂取をしていないときがあります(;’∀’) 運動をしていなくても体内から水分は失われていきますので意識的に摂取するよう心がけていきたいです(‘ω’)

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参考文献)

1)熱中症診療ガイドライン,日本救急医学会,2015

2)Scott J Montain,Samuel N Cheuvront,Henry C Lukaski:Sweat mineral-element responses during 7 h of exercise-heat stress.International journal of sport nutrition and exercise metabolism,17(6):574-82,2007-12

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