最近、久しぶりにアボカドを食べました。最後に食べたときに食感が口に合わず何年も食べずにいました。久しぶりに食べた感想は当時気になっていたクリーミーな食感がむしろ良くて、ハマっていきそうな感じです!今回はそんなアボカドの栄養素についてまとめてみました。
アボカドのエネルギーと成分(含有量が多いと思われるもののみ表示)
下記の成分は他の食品と比較し多く含まれていると感じた成分を表示しました。因みに、アボカド小(100g)のうち可食部分60gというのは実際に私が食べたアボカドの皮と種を取り除いた部分の重さです。
参考:日本食品標準成分表2020年版
- 果実類の中でもアボカドはエネルギーが多いとされています。みかんやリンゴ100g当たりのエネルギーが50kcalですので比較してもかなりカロリーが高めであることが分かります。
- 飽和脂肪酸にはパルミチン酸、一価不飽和脂肪酸にはオレイン酸、n3-系多価不飽和脂肪酸にはα-リノレン酸、n6-系多価不飽和脂肪酸にはリノール酸が含まれています。 ※脂肪酸の詳細については別記事の「えごま油の力」に記載しております→こちら
- トコフェロールは3種記載しています。どれもビタミンEですがビタミンEの中でもトコフェロールαが多いです。トコフェロールαは人体を構成している組織に対する作用が最も強いと言われています。
アボカドの特徴、効果及び注意点
【エネルギー(カロリー)の割合が多い】
成分表に示したようにエネルギーが多い果物です。そのため体重増加を心配する方がおられるかもしれません。先行研究によるとラットを用いた研究では体重の増加率には変化が認められなかったという報告があるようです(1。
【不飽和脂肪酸の割合が多い】
不飽和脂肪酸の中でも一価不飽和脂肪酸の割合が多いです。一価不飽和脂肪酸は中性脂肪やコレステロールを改善する可能性があります。しかし、摂りすぎは効果がなくなるようなので注意が必要です。n3-系多価不飽和脂肪酸に含まれているα-リノレン酸は癌抑制効果に働くことが示されています(2。一方、n6-系多価不飽和脂肪酸に含まれているリノール酸の摂取量が増加すると発癌リスクが高まるとの報告がありますので注意が必要です(3~4。因みにn6-系多価不飽和脂肪酸に関する1日の摂取基準量は成人以上で7~11g/日です。
n6-系多価不飽和脂肪酸に関する1日の摂取基準量についてはこちらを参照ください→「日本人の食事摂取基準(2020 年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告」のP.151
【食物繊維の含有量が多い】
アボカドには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維ともに含まれているようです。水溶性食物繊維により血糖値の急激な上昇を抑えてくれるほか、コレステロールの吸収を抑制してくれます。これらにより糖尿病の予防効果や脂質異常症の予防効果が期待されます。不溶性食物繊維により腸の蠕動運動を促進し排便を促す作用があります。これにより大腸がんの予防効果が期待されます。
【カリウムの含有量が多い】
カリウムにはナトリウムを排泄する作用があります。ナトリウムは血圧上昇作用があり、日本人は食塩(NaCl:塩化ナトリウム)を過剰に摂取する傾向があるのでカリウムを摂取することで血圧を下げる作用が期待されます。
【ビタミンEの含有量が多い】
ビタミンEは心疾患の予防や血圧を下げる作用、アルツハイマー型認知症進行の遅延やパーキンソン病症状の進行遅延、筋肉量が減少するサルコペニアに対する効果もあるようです。その他、肝臓の機能を改善することや、抗不妊作用、歯周病予防や風邪予防などの作用が期待されます。
詳細はこちら⇒「栄養素の役割と働きについて」のうち、『ビタミン 2.脂溶性ビタミン ③ビタミンE』を参照ください。
【葉酸が多い】
妊娠されている女性の方におすすめです。胎児の脳や脊髄などの神経発達を促す作用があるようです。もちろん妊娠中以外の方にも効果があり、美肌効果や発毛、抜け毛予防、白髪予防に効果があります。また貧血予防であったり心臓病予防、認知症予防との関連が報告されているようです。
詳細はこちら⇒「栄養素の役割と働きについて」のうち、『ビタミン 1.水溶性ビタミン ⑥葉酸』を参照ください。
【パントテン酸の含有量が多い】
人が活動するために必要なエネルギーの産生に必要な補酵素となっています。
詳細はこちら⇒「栄養素の役割と働きについて」のうち、『ビタミン 1.水溶性ビタミン ⑦パントテン酸』を参照ください。
アボカドの食べ頃
①皮の色
アボカドの色はだいたい緑色か茶色だと思います。この場合緑色は完全に熟していませんので茶色になっていることを確認してください。しかしこれだけではまだ熟していないことがありました。
②固さ
手で握ったとき「ムニュムニュ」っと少しへこんで戻る固さのアボカドが熟していました。
※店では押さないようにしてくださいね(;’∀’)
③アボカドのヘタ
ヘタがなかなかとれないときはまだ熟していないようでした。熟しているものは比較的すぐにとることができました。
アボカドの熟成方法
①切っていないアボカドの場合
バナナと一緒に紙袋や新聞紙で包みます。バナナを入れることでエチレンガスを多く発生し、熟成が早まるそうです。バナナが無い場合は他の果物でもよいですし、他の果物が無い場合はアボカドを1~2個追加して入れることでも熟成を早められるそうです。その後直射日光を避け、室温18~24℃で保管するのが良いといわれています。夏であれば室温でよいと思いますが冬場は気温が低いので冷蔵庫の上に保管するのがおすすめです。熟成は1~3日で完了するようですがこまめにチェックすることが大切です。
②切ったアボカドの場合
切ったアボカドにレモンかライムの汁をかけるのがよいです。空気に触れる部分は傷みやすいので酸化を防ぐためです。それから食品保存用ラップでつつむ、ラップがなければ密閉できる容器に入れます。場所は冷蔵庫で保管してください。
夏のアボカドの保管について
アボカドは5~24℃が追熟するのによいとされています。したがって5℃未満であれば追熟せず、25℃以上であれば腐らせてしまう恐れがあります。夏になると気温が高く室温でも25℃を超えてしまうので室内を24℃に保つようにクーラーを利用するなどの工夫が必要になります。電気代もかかるし面倒なので夏は食べるときだけアボカドを購入する方法を選択したほうがよいのかもしれません。
まとめ
アボカドはさまざまな病気を予防する効果が期待できるほか、妊娠中の方にもおすすめな食品であることが分かりました。脂質が多く過度の摂取には注意が必要ですが、栄養素からみても摂取する価値はあるのではないでしょうか。
参考文献)
1)小橋 惠津,鈴木 広美,神戸 絹代:ラットにおけるアボカド摂取による有用性について―大豆油との比較による血中脂質・大腸への影響―.日大生活科研究報,38:117-126,2015
2)奥山 治美:リノール酸摂りすぎによる炎症性疾患としての癌.Environ.Mutagen Res.,25:147-157,2003
3)奥山 治美:必須脂肪酸の栄養生化学 混乱からの脱出をめざして.化学と生物,Vol.28 No.3:175-181
4)奥山 治美,橋本 道男,伊藤 幹雄,et al.:各種脂肪酸の生理・薬理機能の多様性.日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)131:259-267,2008
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